公務員の世界では、2023年度から定年年齢の段階的な引き上げが始まっています。
「65歳定年になるのはいつからか」「60歳以降の給与は本当に7割なのか」「役職定年後はどのような仕事をするのか」と不安を感じている50代・60代の国家公務員、地方公務員も多いでしょう。
公務員の定年延長は、民間企業が定年再雇用や継続雇用制度を見直す際にも参考になります。
2026年度時点の制度をもとに、定年年齢、給与、退職金、役職、再任用後の働き方を見てみましょう。
公務員の定年は2026年度現在62歳
公務員の定年は、2023年度から2年に1歳ずつ引き上げられています。
2023~2024年度は61歳、2025~2026年度は62歳、2027~2028年度は63歳、2029~2030年度は64歳となり、2031年度から原則65歳定年が完成します。
したがって、定年延長といっても、すべての公務員がすぐに65歳まで働くわけではありません。
生年月日や年度によって定年退職の時期が変わるため、自分が何歳で定年を迎えるのかを確認しておく必要があります。
地方公務員の定年も国家公務員を基準に条例で定められ、原則として同様のスケジュールで引き上げられます。
ただし、職種や自治体によって特例や具体的な運用が異なる場合があるため、勤務先の条例、規則、人事担当部門からの案内を確認することが大切です。
60歳以降の給与は原則7割水準
国家公務員は、60歳に達した日後の最初の4月1日から、俸給月額が原則として60歳前の70%になります。
誕生日を迎えた時点ですぐに減額されるわけではない点に注意が必要です。
ただし、給与のすべてが一律に3割減るわけではありません。
俸給月額と連動して減額される手当がある一方、住居手当、通勤手当などは異なる取り扱いとなります。
期末・勤勉手当、いわゆるボーナスも支給対象ですが、実際の年収や手取り額は、職務、手当、共済掛金、税金などによって変わります。
退職金については、60歳以降の給与減額や役職定年による俸給月額の低下がそのまま不利益にならないよう、「ピーク時特例」が設けられています。
また、60歳以降に本人の非違によらず(不正行為や重大な規律違反が原因ではなく)定年前退職した場合も、当分の間、定年退職と同様の支給率で退職手当が計算されます。
ただし、定年まで働けば必ず得になるとは限りません。
給与、退職金、年金の受給開始時期、健康状態などを踏まえ、60歳以降の収入と生活設計を個別にシミュレーションする必要があります。
役職定年後は役割と働き方が変わる
公務員の定年延長とセットで導入されたのが、「管理監督職勤務上限年齢制」、いわゆる役職定年制度です。
原則として60歳になると、部長や課長などの管理監督職から非管理職へ降任または転任します。
ただし、高度な専門性が必要な場合や、後任の確保が難しく業務に重大な支障が生じる場合などには、特例任用が認められることがあります。
役職定年後は、組織を率いる立場から、専門業務、若手職員の育成、知識や技能の伝承、プロジェクト支援などへ役割が変わることが想定されます。
本人にとっては、役職や給与が下がることだけでなく、新しい役割にどう適応するかが大きな課題になります。
フルタイム勤務を続けることが難しい場合は、「定年前再任用短時間勤務制度」も選択肢になります。
これは、60歳以降に定年前退職した人を、選考によって短時間勤務の職に採用する制度です。
勤務時間は週15時間30分から31時間までの範囲で設定され、任期は原則として、その人が常勤職員として定年退職するはずだった日までとなります。
健康状態、介護、家族との時間などを考えれば、定年延長、定年前再任用、暫定再任用のどれを選ぶかは重要なキャリア判断です。
早めに情報を集め、希望する仕事、勤務時間、収入を整理しておくことが欠かせません。
民間企業が定年延長を考える際のポイント
公務員制度の「給与7割」は、民間企業が定年延長時に60歳以降の賃金水準を検討する際の参考になります。
ただし、数字だけを取り入れるのではなく、仕事や責任がどう変わるから給与が変わるのかを明確にしなければ、従業員の納得は得られません。
また、65歳定年を導入するなら、若手・中堅社員の昇進を妨げないよう、役職定年や管理職任期制もセットで検討する必要があります。
役職を外した後は、専門職、後継者育成、技能伝承など、経験を生かせる役割を用意することが重要です。
さらに、フルタイム勤務だけでなく、短時間勤務、週3日勤務、職務限定といった複数の働き方を設けることも参考になります。
定年年齢だけを延ばすのではなく、賃金、役職、職務、評価、退職金、キャリア面談を一体で見直すことが、定年延長を成功させるポイントです。

